1.仕事の棚卸し&分類方法 | 業務体系表で見える化

技法概要:業務体系分析

カレー作りの工程について、「材料を洗って、切って・・・」と表現しましたが、実際には野菜を切るのと肉を切るのでは手順が違います。野菜は皮をむきますが、肉は不要です。同じ野菜でもジャガイモは芽を取らなくてはいけません。

ところで、多くの業務改善の担当者は、仕事を分解して棚卸し、業務フロー図を作成しようとしますが、何人かで分担すると必ず「粒度(最小単位の大きさ)が合わない」ことに気づきます。
これは、人によって仕事の最小単位のとらえ方が異なるからです。すなわち「ジャガイモを切る」のと「肉を切る」を同じ行為として扱うようなものです。

このように、業務を同じ基準で評価できる最小単位(タスク、といいます)に分解することが、本来の仕事の棚卸しであり、これを正確に行うことで重点的な対策対象や前後関係が見える化され、その後の業務分析~改善の様々な技法の大前提となります。

カレーで実践、仕事の棚卸方法

では、カレーの作り方を例に実際に棚卸してみましょう。

まずはカレーを作る手順と時間をざっくり書くと、

  1. 材料を切る
  2. 材料を炒める
  3. 煮込む
  4. ご飯を炊く

・・・たったのこれだけです。

この一番大まかな手順を「大分類」とします。

大分類は業務の骨組みの部分なので、このレベルで改善できることは通常ありません。

分類が終わったら、各々の工程にどれぐらいの時間がかかりそうかを考え、その時間(分単位などにそろえる)も書いておきましょう。

大分類の例

さらに細かく分類してみる(中分類~小分類)

大分類をもう少し細分化(ブレークダウン)し、中分類を作ります。
「材料を切る」の「材料」には、様々な野菜や肉が含まれます。

①の材料を切るを材料別に細分化すると。「①-1:ニンジンを切る」「①-2:タマネギを切る」「①-3:ジャガイモを切る」「①-4:肉を切る」に分けられます。

それ以上の細分化は、さらに会の分類(小分類)で行えば大丈夫です。

中分類の例

中分類のうち、ニンジンについて細分化すると、「①-1(1):ニンジンを洗う」「①-1(2):ニンジンの皮を剥く」「①-1(3):ニンジンを乱切りにする」のように分けられます。
ここ(小分類)まで分解すれば、子供でも作業ができそうですね。

こうして分解した結果、ニンジンとジャガイモは同じ「乱切り」だとすると、同じタスクとして統合できます。
これは、後で機械化を検討する際には「同じ機会が使える」ことを意味しています。

小分類の例

実際の仕事を、棚卸ししてみる

例えば、「営業月次報告レポートの作成」業務を考えてみます。
これを、先月1か月の売上結果を、商品分類単位、地域単位、組織・営業担当者単位などの様々な切り口でまとめた資料、とします。

そのためには「原材料」としては「先月の売上情報を集める」のですが、これだけだと「肉と野菜を用意する」と言っているのと同じレベルです。

もう少し分解してみましょう。

営業月次報告レポートの分類例

このように、大きなざっくりとした分類を行い、それをもう一段掘り下げる・・・を繰り返すことで、自然と分類されたより細かい単位の仕事(タスク)が抽出できます。
こうして仕事の棚卸を進めていくと、タスクの見落としもなくなります。

これ以上分解できないところまで分解で来たら、別の分類にあるタスクのうち、実は共通の内容であるものを見つけてまとめることで、重複する業務の無駄を省くことにつながります。

エクセルでできる、業務体系図

業務体系図は、仕事を機械的に分解することで、仕事を最小単位=タスク単位にしつつ、漏れや重複が無いように棚卸しができる技法です。

漏れや重複のない分類ができたら、それぞれにかかる大雑把な時間を記入します。
このとき、実際にかかる時間と多少の誤差があってもかまいません。
時間を正確に記入することに拘り過ぎて、業務体系図の作成に時間をかけてしまっては本末転倒です。

業務体系図を作ることで、各業務のおおよその所要時間が把握できました。
これを基に、他の技法と組み合わせることで、優先順位付けや、処理手順などを最適化することができます。

まとめ:仕事の棚卸は、粒度を揃えるのがコツ

仕事の棚卸しと言っても、慣れるまではなかなかな粒度を揃えられるものではありません。
そんな時に役立つのが、「業務体系表」です。この分析結果は他の技法で共通して活用します。