4.見えない真の原因を探る | 特性要因分析

技法概要:特性要因分析

様々な問題が健在化している場合、どれから手を付けて良いか迷いませんか?
しかも、多くの場合、健在化している問題に対処すると、別の問題が浮上するという、モグラたたき状態に陥ります。

そんな時、各問題で共通する「根っこ」の部分を押さえられれば、根本的な解決につながります。
そこで役立つのが、特性要因図を使った分析です。

特性要因図=フィッシュボーン図による分析技法

特性要因図は、特性・要因・原因の関係を系統的に結んで表現する図のことです。
その形が魚の骨に似ていることから「フィッシュボーン図」とも呼ばれます。

  • 特性 (effect) - 管理の成績・成果として得るべき指標(不良率・在庫金額など)
  • 要因 (factor) - 特性に影響する(と思われる)管理事項
  • 原因 (cause) - トラブルなど特定の結果に関与した要因

のように、着目する視点を段階的に切替えて深掘りし、共通の「真の課題」を探り出す技法です。

真の原因(=共通の根っこ)とは

例えば、飲食店体験ブログサイトにおいて、「味がイマイチ」といった低評価が多いのを発見した場合、早期に根本的に手を打たないと、低評価が増殖しかねません。
とはいえ、解決策が「美味しくする」では、具体性が全くなく、何をして良いか分かりません。

一般論として、味の評価が低いのは、材料・調理法・味付け・見た目・店の雰囲気・・・などが総合的に低いために、多くの人がそのように感じています。
これら全てを当てずっぽうに全て対策をしようと思っても、総花的な対策となりがちで、効果がでません。それは、表層的な問題(味がイマイチ)に目を奪われてしまい、真の原因(原因の原因、のそのまた原因・・・)にたどり着いていないからです。

雑草でもそうですが、地上に出ている部分を刈り取っても、地下茎からすぐに芽が出てきます。
本気で駆除する気があるなら、「根こそぎ」取り除かなくてはいけません。
同様に、ビジネスの諸問題でも、表層的な部分に目を奪われることなく、「根っこ」を探したほうが、実は近道です。
特性要因分析は、なかなか見つからない「根っこ」を見つける時に使います。

真の原因に分解する

具体的に、カレーが「美味しくない」原因を探るモデルで考えてみましょう。

「美味しくない」という健在化した問題に対して、まず背骨の部分を直線で表した後は、原因として考えられる要素を個別の骨として追記し、因果関係を表現します。

原因を記入し、因果関係を表現した特性要因図の例

更に、それぞれについての原因を見いだして、骨として表現します。
例えば、調理法の原因を深掘りする場合は、「炒め方」「切り方」「煮込み時間」「火力」「スパイスの分量」・・・などの原因が考えらるので、それぞれを骨として書き足して行きます。

本来の原因は複数あることを示す図

このように考えられる原因を深掘りしていき、該当しないものは排除し、残った原因の中から似たような内容のものを同じグループに分類していくと、細分化したものが大きないくつかのグループに分けられます。そして、これらが「真の原因」となります。

グループ単位の影響度合いが数値化できれば、パレート分析できます。また、各グループ間に前後関係があるようであれば、PERT/Time分析の対象にできます。
こうして、優先度の高いものから順番に、各グループへの対処法を検討~実行することで、表層的では無い、根本的な問題解決ができるのです。

まとめ:問題の対処法は、真の原因=根っこを探してから行うのがコツ

直感的に「原因はこれだろう」と思って対処して、根本的な問題解決につながることは滅多にありません。
それは、対処が他の原因に全く効果を及ぼさないからです。
まずは、落ち着いて何が原因かを掘り下げて、同様の原因を分類・統合してこそ、初めて真の原因が見えてきます。